Information

2020.03.22

 

 

 

 

昨年訪れたポルトガルのポルト。

クリエイターが多く住む街でもあるらしい。

なるほど、私も住みたくなった街だった。

 

 

 

 

クリエイターのものを集めるアートショップで、ユニークなデザインのセラミック作品を見つけた。

 

実は、これ、ペッパーとソルト容器。

スパイスボトルなのです。

シリーズものでワインのボトルキャップもあった。

 

長年連れ添った夫婦が食卓で、

うーっむ、この料理、なんか足りないわね。

塩かしら?

胡椒もふってみるか!

 

そんな風にして味覚も似てゆく夫婦のあうんの顔つきにも見える。

 

ひと目見たときすぐに気に入った。

でも、まさかソルト、ペッパー容器だとは気づかなかった。

もちろん一見気付かないように作ってあるのだが、手にとった時のサプライズ感が、クリエイターのユニークさと感性の落としどころがにくい!

 

私は、実際には使っていないが、オブジェとして飾っている。

 

料理の決め手はスパイスだ。

テクニックも重要だが、スパイスひとつで激変する。

日本語にもいいあんばいという言葉があるが、文字が示す通り塩梅、塩の旨味成分の絶大さを語っている。

実際に私も、料理に合わせて塩を使い分け始めて初めて知った素材の味というものが多くある。

 

 

自分の作るものも、押し付けるようなデザインではなく、スパイスの効いた作品作りであろうと心がけている。

主役は身に付ける人であるのだから。

 

 

 

 

 

2020.03.10

疑い深き山々

 

 

 

こすれ合う木々の音とこだまし合う風の音。

頭上の木々から、ぱたぱたと落ちてくる昨日の雨と今朝の朝露たち。

 

 

 

 

 

雲にすっぽり包まれて山の全貌は全く見えず、ほぼ地面しか見えない登山道を歩き出した早朝。

唸るような風の音は、自然の威力を示されているようで少し無口になる。

晴れの日ばかりを狙って決行しているトレッキングだが、あまりにも晴天の日が少なすぎるのでもう曇りでもいいや!そんな気分で今週も山へ。

今回は頂上あたりでうまくすれば快晴になる予定。

2度も見送った豊後富士、由布岳に挑戦。

確実な天気の時に登りたいのだが、仕事の調整が毎回うまくいくわけでもなく、且つ、天気ばかりを狙っていくには、時間が足りなさすぎる。

あと10年早く始めていれば。そんな思いもちらほら。

 

朝靄に包まれた山もなかなかに幻想的で素敵だった。

木々に溜まった朝露は、本当に水晶のようで美しい。

どの木もアクセサリーを付けているようにキラキラしている。

 

 

 

 

一眼レフを持ってくればよかったと思う時に限って、撮影したいものがやたらにあり、もやもやしながらスマホで記録として残す。

まだまだ経験不足である。その日のトレッキングに何を持てば自分がより楽しめるのか見極められていない。

初めての山にいく前夜は、ルート確認と安全注意で余興気分な気の回し方はできない。

レイヤリングと言われる、自分の体温調節をするウエアーの組み合わせは随分外さなくなったのだが、天気が読めたならとこの頃思う。

なかなかのキャリアのトレッカーにあちこちでお会いするのだが、雲を見てすぐ判断する。

大丈夫、あの雲は雨降らさないから!

わ。ステキ!憧れるなあ。と、目がハートになってしまう。

風の向き、気圧の変化、雲の動き、それらがおおよそ頭に入っていれば登頂開始時間や途中の時間調節で、頂上では絶景を約束できる。

場合によっては、別な山に変更することで悪天候を避けられる。

 

今回は、1時間半ほど外してしまい、下山間近で快晴になった。

下山後ふと振り返って仰天した。

登り始めた時には、まるで雲の中に入ってゆくような登山であったのに、青空背景に山の全貌がみるみる見えてきて頂上にかかった白い雲が西へ西へと移動していた。

すっかり雲が切れて山がどんと視界に現れた瞬間。

おお!この山に登ったのか!!

男山だ。勇ましい姿に満足感が沁み渡る。

 

毎回思うのだが、下山後に登った山を見上げると、本当に自分は登ったのだろうか。

私、ほんとにあの山に登ったのか?

しかも、歩いて?あんな高いぞ!

 

どの山でも毎回、私が帰り際に山を見上げて呟くので、友人はいつもケラケラ笑う。

 

もう一回登って確認してくれば?

と、再びケラケラ笑うのである。

 

全体を遠くから見ていると無理なような気もすることでも、足を踏み入れると気が付くとやれてしまっていたということ、結構多いんですよね、

 

自分にとってのこの仕事も、そんな節がある。

 

山を通して思う、私は、妙に疑い深くなる時があるようだ。

 

 

というわけで、三度?山の話であいすみません。

 

 

 

 

 

 

2020.03.02

弥生の日に

 

 

どんよりな天気がやけに多い気がする2020年。

月も変わり弥生となった本日は、久しぶりに青空が広がっている。

青空や太陽は希望を感じる。まあ、そう感じるのもどんよりな天気があるからであるわけだが、やはり文句なしに気分が良いのは否めない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先週訪れた山では、氷が溶け春が蠢き始めてる気配を感じることができた。

パートドヴェールのガラスアートを見ているようだった。

このまま額装して壁に掛けたい。

そんな気分になった。

 

路地裏を歩くと、植物も確かな春の到来を告げ始めている。

格好よしな枝振りに咲く梅や桃。

甘やかな香りを漂わせる銀木犀を、ご近所の庭先に見かけることもある。

植物は、おおよその場合、人の心を穏やかにさせてくれる。

 

これからの季節に咲く花で好きなものは、木蓮だ。

白も素敵だが、シンボルツリーのようにして咲く独特のあの赤紫色の木蓮のあるおうちを見かけると立ち止まらずにはいられない。

 

木に咲く花。

やはり渋いです。

 

木蓮を植栽に選んだおうちに住う方は、いったいどんな人なんだろう。

いつもそんなことを思ってしまう。

 

少しずつ気温も上がり、青空を見る日が増えてくるのを心待ちにしている日々である。

 

 

 

 

2020.02.22

等しく与えられる自然美

 

 

 

 

AM 11:05。

この快晴は逃したくない!と、しばらくぶりのソロ登山。

なぜかいつもより早めに目的地まで到着する。

おそらくおしゃべり相手が居ないので、もくもくと進むからなのだろう。

 

行き交う登山者たちも、案外ソロが多いものだ。

 

 

 

 

 

 

 

折り返し目的地近くの林道。

それまでリズムよく歩いていた歩調を緩めて立ち止まる。

ここでは、背の高い杉の隙間からその日で一番高い位置から太陽がキラキラと覗くので、いつも頭上高くを見上げて深呼吸する。

なんとなくの私の決まり事。

 

ふうむ。はあ〜。

この瞬間が最高に心地よい。

もやもやなことや、遅々として進まない諸々の状況も一気に手放せる。

等しく与えられる自然美。

ありがとう。

心がにこにこマークになる。

 

そしてこのエリアは、太陽の角度なのか木漏れ日がとても魅力的なスポットが多いのも、歩調を緩めるひとつ。

 

ハワイで撮影出来そうなショットが撮影できた。

正午前の陽射しが重なり合う植物たちにも等しく与えられ、素敵なシルエットを落としていた。

 

 

撮影がうまければもっと素敵なショットが撮れるのだろうにと、思いながらあちらこちらの木漏れ日スポットを堪能してふらふらと寄り道しながら折り返し目的地まで辿り着く。

 

折り返し地点で小1時間ほどランチと休息をとって再び同じ林道を歩いたが、あちこちの木漏れ日スポットたち、すこし先ほどと雰囲気が違って見えた。

 

やっぱり、刻一刻と時は進むんだなあ。

今、この刻を味わい尽くせるように生きなきゃな。

 

そうやって、小さな温泉街でちゃぽんとお湯につかり帰宅したのであった。

 

 

 

 

 

 

2020.02.10

雪山の美

 

 

 

 

 

行ってみよう。

やってみよう。

 

何事も百聞は一見に如かずである。

そして、初めての体験というものを出来、不出来に捉われず楽しむこと。

 

これは、私自身が大切にしていることでもあり、迷ったときの呪文のようにしている。

 

 

 

 

 

まだまだ初心者ではあるが、トレッキングを始めたときからなんとなく、装備もあれこれ必要だし低体温症だし、雪山はやめておこうと思っていたのだがもうずっと天気が優れずトレッキングに行けないのもあり、ちょっと行ってみようか。というノリで雪山を初体験した。

 

 

 

 

 

 

 

 

チェーン規制のある道のりをいつもよりゆったりと進みながら向かったくじゅうの登山口駐車場。

到着してまず驚いた、既に満車。

道中も途中からがらっと変化した景色にテンションはすっかり上がっていたが、秋に来たときとはすっかり景色も登山客の様子も変化して、行き交う登山客のアイゼンをはめたトレッキングシューズの音が益々私の心をワクワクさせた。

 

こんなにどっぷりと雪景色だとは思っても見なかった。

土などどこにも見えなかった。

映画の世界か小人になった自分がパティシエの作るお菓子の世界に迷い込んだような美しさだった。

 

旅は割にあちこち行ったが、街中に積もった雪は見たことがあっても、作られた観光名所のようなものではなく、自然の雪山がこんなに美しいものなのだとため息が出るばかりだった。

数ヶ月前に登山途中に見た景色が、すっかり違って見えた。しかし、確かに歩いたコースだった。

 

 

 

 

 

すれ違う登山客たちとブレイク中に話をしてみると、実に全国から来られている。一眼レフを持った登山客が秋よりもかなり多く感じた。

少し歩いて立ち止まる、またすぐに立ち止まる。

前を行く一眼レフを持った見知らぬ男性登山者が、後ろを振り返り、すみませんねえと私に苦笑いした。

 

全然、気にしないでください!

気持ち分かります!次に撮影出来るとは限りませんよね。

 

そうなんですよ。

いやあ、今日は、最高だあ。

 

 

 

 

 

 

 

雪山は空が青ければ幸いだが、冬山はどんどん雲が流れ霧やもやがかかりやすくグレーな天空だが、地面は積もった雪で白く明るい。

 

山岳小説などで幾度となくイメージした雪山だったが、体験はやはり強烈だ。

 

生きててよかった。

なぜかそんなことを思った。

 

まだまだ知らない美しいものたちがいっぱいいっぱいあるのだと思うと、体感できる肉体を持ってこの世に生きていることが、とても愛おしくなった1日だった。

 

 

やってみよう。

行ってみよう。

 

シンプルに行動することをこれからも続けてゆこうと思った。

いつの日か貯蓄されたシンプルなやってみた、行ってみた、が、私の中の何かを支える日が来るかも知れないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Page top

Instagram