2016.11.24
昇華された時間の到達点
たとえば何かに到達するために、少し速度を稼げる手段を持っていたとしよう。
それは、まるで自分の手足のように操れるほどに馴染んでいるもの。
道具と云われるものは、おおよそそんな位置付けであろう。
道具の少しの故障は、途端に効率を下げるだけでなく、気持ちがそぞろになる。故に到達への直進的な動きが不安定になる。
いち早く到達することだけがよしではない。
そんなことが少しずつ理解できるようになってきた。
道具を操ることを手放してみる。
その時生まれた時間の中には、もうひとつの時間が新しい顔をみせる。忘れていた時間でもあり、未知の時間でもある。
なんどでも、いくつでも、新しい時間が生まれてくる。
まるで軽い興奮と高揚が交互に体中を満ち満ちてゆく。
道具を休ませる時間を与えてみよう。
もうひとつの時間が立ちのぼり対面する心地を満喫してみる。
それが、きっと豊かさへと昇華してゆくことであろう。