2023.06.07
1日をしめくくるための灯り
1日の終わりに何をか思う。
若い頃は、早く休む事は時間を棄てることのように感じていて、眠くなる寸前までどうでもよいことに時間を使って、結局は時間を棄てていたに等しい過ごし方をしていた。
今では、どんなにささくれだった心の日でもゆったりとした気持ちで眠れるよう、夜は良質な睡眠のための準備時間として心がけている。
そんな環境つくりのひとつとして、ここに越してきてから改めたのが灯りの捉え方である。
デジタル製品が生活に密着し24時間体制の現代、暮らしの中でなるべく照度のコントロールを意識しながらリラックス効果を得る工夫をしなければ、リズムは幾らでも狂ってしまう。
リズムが狂うと生きる時間に対して粗末な扱いをして、それが長く続くと自分自身に対しても粗末になり、いずれ他人に対してもぞんざいになりかねない。
その基本は、暮らしの中に潜んでいると思うのです。
季節ごと、日ごと、窓から見える空の色や明るさは違う。
そして、日ごと、1日の終わりに思うことや感じることは違う。
心の状態もフラットではない。
天井からのスポットの数をぐっと減らし、部屋のコーナーや椅子のそばの読書灯、手軽に移動させられる行灯のような灯りにしぼり、部屋で過ごすのに必要な明るさを得ながら、同時に照らされたお気に入りのアートやグリーンが浮き上がることで心が和むようにした。
見え過ぎることは、心のざわつきの原因になる。
これは、情報も同じと云える。
明るさもコントロールが必要だと感じるのは、そういった理由もひとつである。
椅子と灯り。
これらのアイテムがあればどんな場所でもたちまち空間がたちあがる。
そうやって生まれた新しい場に添えたいものは、何だろう。
自分にとっては、音は必須。
音と今日は温かい飲み物かな。
イメージするだけで心はほぐれる。
そんな時間をひとときでも味わえるならば、その時間は命を持った時間となり、私に寄り添ってくれて多くを語らい、ひらめきとやわらかな判断をもたらしてくれる。
新しい明日のために思考を、一旦、どこか遠くに預けてみる。
それが睡眠の役目ではないだろうか。
1日の終わりに何をか思う。
今日という日は唯一無二である。