2016.10.01
教養たるもの
あなたにとって品性とはどういうものですか?
仕事で関わっているいつも朗らかで寛容な方に、真顔で尋ねられたことがあった。
自分自身に敬意を払うこと。
そして、自分以外の存在にそれ以上の敬意を払うこと。
そう答えた。
よほど解せない事があったらしい。対象となる相手が長い付き合いの方だったこともあって、私が知る限りではほぼ初めてというほどの重く静かな雰囲気が流れていた。
家族や学校という小さな単位を離れ社会に出て、あらゆる面で違いというものが存在することを知る。
その過程の中で育まれてゆくのが教養というものであろう。
親や学校の師たち以外の他人様に学びを得る。
正確には、学ぶ姿勢を持ち続ける。
師を仰ぐ他人様は必ずしも年長者とは限らず、対象となるは生きとし生けるもの森羅万象。
良きことは意識をもって模倣をし繰り返すことで、かつては模倣で始まったものも自然のうちに身につき自分自身の一部となる。
そうやって得た教養は、いつしか品性となって染み込んでゆきじんわりと外へ流れでる。
それは、不思議なことに自分以外の周囲が敏感に感じとるものになる。
それだからこそ、教育よりも重要なのは教養であるような気がする。
もちろん、人としての最低限の教育という素地ができていなければ、教養は根付かないと思われる。
我が身も社会的にはもういい年齢に達している。
仕事、生き方、自分なりの品性というものが、欠如してはいないかと改めて肝を冷やす思いで拝聴した次第でありました。