2016.07.24
夏の蒼い時間
夏には夕方から夜へと向かう狭間な時間が存在する。
厳密に言うとどの季節にもその時間は存在するのだが、西日本ではこの時間は長い。
そして、夏のこの時間はことさらに長い。
幼少の頃、遊びに夢中になり気がつくとお店の看板や横断歩道、あちこちが赤く染まっているのを目にして、慌てて友達と別れて家路へと向かった。
夕食の時間に間に合うよう急ぎ足と駆け足を繰り返しながら、頭上の茜色に藍色が混ざり始める空を見ると、なんとも寂しい気持ちになったものだった。
今あるものたちもいずれは変化していなくなってしまう。
誰に教わったわけでもないが、そのことを既にはっきりと知っていた。
そして、大人になった今、現実としてはっきりと無常の意を体験し識っている。
存在だけでなく、感情さえも無常だ。
夏には過去と現実を行き来するそんな蒼いノスタルジックな時間がある。
黄昏時の蒼い時間。
街も空も蒼く。