2023.03.11
長い眠りから目覚める一眼レフ
ホームページを立ち上げたのは25年くらい前だっただろうか、それと同時に割と早い段階で、コンパクトデジタルカメラを仕事の投資だと立派な大義名分で購入した。
事実、かなりの頻度で使用し減価償却はあっという間だった。
確か一番最初のものはFUJI FILM のものだった。
何台か買い替える度にカメラは劇的に優秀になり、そしてついにはスマホがカメラを席巻し始めた。
それでも一眼レフに対する憧れを持ち続けていたのだが、何しろあのボディの重たさが決心を鈍らせ、と同時にあのシャッターを切る独特の音にはクールさを感じつつ、迷って迷ってカメラコーナーをうろうろして帰宅する。
を何年も繰り返していた。
昨今のスマホのカメラ技術が上がり過ぎてカメラなのか電話なのか分からないくらいのこだわり進化ぶり、カメラ業界に暗雲か?
そこに、彗星の如く現れたミラーレス一眼レフ。
従来の一眼レフの構造上の内部ミラーを無くしたことで、かなり軽量化されコンパクトになったというミラーレス。
ついに決心したのが8年前。
この仕事を始める前から憧れだった一眼レフ。
が、あまりにも不明な操作ボタンが多くファインダーを覗くと画面にたくさんの数値や略語が溢れている。
思うような写真はちっとも撮れない。
たくさん撮影していれば覚えるでしょ。
なんてタカを括っておりましたら、スマホのカメラで背景ボケも撮影が標準になり始めてしまった。
持ち出すとなるとミラーレスですら重たい…
違いが出せる程の腕が上らなければ、スマホのそこそこの安定した撮影と気軽さに頼る日々が続く。
実は買って2年ほどで、抽斗の中で安眠状態になった。
もう、売ってしまおうか?
でも、スマホはあくまでも通信機器であり、当然だが一眼レフは本気のカメラであるわけで圧倒的に良い写真が撮れる。但し、腕がよければの話だが。
何年も揺れていた。
先週のこと。
最初にコンパクトデジタルカメラを買った時のように、日常のシーンを撮影してみようか。そんな気になったので抽斗から出していじってみた。
やっぱり画面に現れる略語が分からないなあ。
いったいどこの何をいじれば撮りたい写真に近づくのだろう。
説明書ってどうして私のやる気を削ぐのだろう。
そうやって数日が過ぎていた。
今日、仕事帰りに立ち寄った本屋で建築関係の雑誌コーナーでパラパラと立ち読みをしていたら、そのコーナーにカメラの本がなぜか何冊か並んでいた。
あれ、なんでここにカメラの本があるの?
「カメラはじめます!」
手にとった本が、直球なタイトルに等しくかなりわかりやすかった。
レジで会計を済ませて帰宅し、抽斗から安眠中のカメラを取り出すと
やっと分かったことがいくつもあり、カメラが長い眠りから目覚めた次第である。
あの本屋さん、粋な商品配列しているなあ。
ありがとう、危うく売るところだった。
随分暖かくなり、街には気の早い桜や木蓮を見かける。
来週、仕事が早く上がった日にコーヒーとカメラを持ってロードバイクで撮影に出掛けてみようと思う。
そんな計画を思うだけで気分がわき立つ。
思えば、20代から興味があった一眼レフ。
年齢を重ねても興味があることを、もう後回しにするのはやめようと思った。