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2022.11.04

過去のきっかけ、勢いを経た今

 

 

 

夏からせわしく時間が過ぎてしまい、今年は10年に一度と言われるほどの山の紅葉を見逃してしまった。

 

でも、9月の末に上高地を訪れたので、悔やむ気持ちも半減に納められている。

あれは17年前だっただろうか。

ヨセミテ国立公園で出会った世界中を旅しているというご夫婦の

「ヨセミテも素晴らしいけど、上高地もなかなかいいわよ」このひと言が忘れられないでいた。

当時は登山を始めていなかったので、いずれお会いしたご夫婦くらいの年齢になったら行ってみよう。漠然と思っていた。

 

 

 

 

素晴らしい天気に恵まれた。

 

 

 

スマホで撮影してもこの美しさ。

 

 

今回は前穂高登山道から岳沢小屋までのピストン。

写真の右寄りの頂上に向かって延びている白い線の窪みの2/3辺りが岳沢小屋である。

ここで既に西日本一の高さを誇る石鎚山よりも更に高い。

そこから更に登ると前穂高、奥穂高、涸沢岳、北穂高、南岳、槍ヶ岳、知名度のある山々が右手へと続く。

途中西穂高展望所からの眺めは、すぱあんと視界が開け併せてこの好天気、登り慣れたくじゅうの何倍ものスケール感に圧倒された。

雄大を超えるほどだと伝えたいのだが、それ以上の適切な言葉を知らない己の表現力のなさにもどかしさを感じる。

甚だ陳腐だが、最大級の雄大。

超絶、雄大。

まさに神、高地。

ますます雄大さがしぼむ気配なのでこのくらいに留めておきます。

 

 

 

 

展望所では太陽の陽射しが澄んだ空気を浮遊するような心地よさで、時折り爽快な風がさああっと浄化するように吹き渡る。そして再び浮遊するような太陽の陽射し、浄化するような風。

繰り返される調和の取れた心地よさに、時間感覚を超越し自然とひとつになるような溶ける気分で景色もろとも酔いしれた。

登山道は九州の山よりも整備されて登りやすく思えた。

しかしそれも岳沢までの話であり、その先はかなりのレベル。入念な訓練を積んだとしてもこのコースで、頂上を目指すのは私の実力では無理であろう。

 

とはいえ、てっぺんをとらずとも個人的には満足だった。

元気なうちに行きたい場所として上高地を旅の予定地の候補に、こっそりいれたのは17年前。

まさかこの土地にこんなに早いタイミングでやってくるとは思わなかった。

しかも登山目的である。

ヨセミテ国立公園でお会いしたご夫婦はお元気だろうか。

 

人生は、きっかけと勢い。

心を動かした言葉や感覚を大切に生きることで、人は拡張できるのだと思う。

年齢や言い訳は捨てるべきだ。

17年前にきっかけを得た自分が、勢いを経て岳沢に立っていた。

紛れもなく歩いてそこまでやってきたのだ。

 

 

 

 

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