2018.08.01
失われゆく貨幣
かつてヨーロッパ中の貨幣が統一されるという話にも驚いたが、今では、貨幣そのものがこの世から消えるという、過去には考えられなかった時代へと突入しつつある。
10年ほど前に訪れたオランダ、アムステルダムでのこと。
滞在ホテルの近くの結構賑わっているスーパーを昼に見つけていたので、夕刻買い出しに行ってみた。
そのスーパーは商品陳列も美しかった。
日本人と比較すると圧倒的に平均身長が高いオランダ人。
買い物カゴも日本とは違っていた。
素材は日本のものとほぼ同じなのだが、形状が縦長の箱型になっているもので、キャビンアテンダントが引いている車付きの手荷物カートタイプ。
持ち手の部分をスルッと引っ張り上げて使うスタイルだった。
陳列する野菜や果物を選ぶ際も、お隣の人のカゴを気にすることなく手を伸ばすことができるし、ダースで買うビールやペットボトル、自分の持っているバッグを引っ掛けるフックも付いている。これならば、カゴが重すぎて買い忘れたものを諦めるということもなく、買いたいもののコーナーに戻ることも苦にならない。
商品の品質表示もじっくり読める。
なるほど、所変わればだなぁ。
スーパーの買い物が新鮮に感じてウキウキした。
清算をしようとレジに並んだ。
レジは6カ所。
みなさん、きちんと2列に並んでいた。
大きなモニターに音と共に表示される番号のレジに順番がきたら向かう。
清算を済ませようとユーロ紙幣を出したら、キャッシャーの女性が私の顔を見て言った。
この店は、クレジットカードしか使えない。
カードは持ってないか。
驚いた。
当時、日本では現金しか使えないスーパーはあっても、クレジットカードしか使えないスーパーとは聞いたことなかったので、聞き間違いじゃないかと尋ね直した。
なるほど、夕方の混雑する時間帯にしてはどうりでレジがスムーズに感じたわけだ。
10年後の現在、同じヨーロッパ北部スウエーデンでは、今、キャッシュレスが進行しているらしい。
今思えば、もう、あの頃から、北部ヨーロッパではにわかにシフトしていたことだと、10年前の体験が線となってつながった。
貨幣を見ることがなくなるというのは、私にはどうにもピンとこない。
画像は、滞在中、アムステルダムで訪れたバッグミュージアムに展示されていた、ちっちゃなシューズの形をしたコインケース。
こんな可愛らしいコインケースやお財布も用事なくなるのかしら。
なんだか味気ない、そう思いません?