2023.05.07
面白きこともなき世を面白く
雨が降り続いた後半ゴールデンウィークの突入前に、天気の良いタイミングを狙ってサイクリング県山口県の防府市へと出向いた。
コースは60キロコース。
前日にコース確認をしていたら、偶然知った防府市のゴールデンウィークの名物イベントの水中鯉ながし。
どんなイベントかと言いますと、一級河川の佐波川(さばがわ)に鯉のぼりを空ではなく、川の中で泳がせるイベントらしい。
鯉の数、なんと120匹。
YouTube で過去の様子をみましたら、なんとも風情のあるイベントでした。
ぜひ皆さんもご覧になられてみてください。
残念なことにイベントは翌日の5/3-5。
ちょうどコース沿いなのでせめて前日の準備だけでも見れないものかと折り返し目的地に設定。
途中お昼に立ち寄ったレストランのウエイトレスの方が私と友人の格好を見て話しかけて下さったのだが、実はその方もロードバイクをされるらしく鯉ながしの準備の様子を期待して昨日走りに行かれたという。
到着した現場はかなり広い整備された河川敷公園でした。
鯉を水中に入れるのは、当日の朝とのことで関わっていらっしゃる方々もとても気さくで和気藹々とした雰囲気の中準備をされていました。
ぜひ、皆さんに知らせて欲しいと終始にこやかに語ってくださいました。
コーヒーブレイクをして折り返して次の目的地、防府市街にある毛利氏庭園へ。
こちらは、素晴らしい庭園でした。
季節を変えてもう一度訪れたいです。
完全に作られた世界ではなく、25,000坪の丘や滝、地形を最大限に活かした起伏に富んだ庭園は、素人見にも造作感が薄く、夕刻の静寂さとあいまって庭の持つ独特の宇宙感にぐいぐい引き込まれ、つい長居してしまい帰りはかなりスピードアップで走りました。
庭はやはり良いですね。
広さや造作とは関係なく、どんなに小さくてもそこには宇宙感が常に存在していて好きな時に溶け込める。そんな魅力があるように思えます。
実は今回、もうひとつしみじみと心に響いたのが防府天満宮にあるこの碑です。
とても有名な句ですね。
死の床にありながら高杉晋作が辞世の句として上の句を
「面白きこともなき世をおもしろく」
そして幽閉されていた姫島から解放してもらった野村望東尼が下の句を
「すみなすものは心なりけり」
と続けて詠んだ合作の句の碑です。
刻まれた石は望東尼が幽閉されていた姫島から運んだものらしいです。
姫島といえば、先日島一周ライドをしたばかり。
地層が豊かであったのでこの石が運ばれたのも頷けます。
そしてちょうど空海や最澄の話、かなり難解で頭の中がぐるぐるになった唯識思想の本などを読んだばかり。
自転車で巡る社会科勉強もこんなつながりをもたらしてくれると、深さはさておき、知ったつもりで過ごして来た小さなことに一気に光が射す気がします。
全ては心の持ちよう次第。
「面白きこともなき世をおもしろく
すみなすものはこころなりけり」
これから改めて心の中でつぶやくおまじないにしたいものです。