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2023.01.12

漕ぎながら学ぶ社会科

 

 

 

「積もった雪」

 

上の雪

さむかろな。

つめたい月がさしていて。

 

下の雪

重かろな。

何百人ものせていて。

 

中の雪

さみしかろな。

空も地面も見えないで。

 

童謡詩人 金子みすゞ 作

 

 

 

 

昨年末から取り組んでいる完成までに時間の要する作品がひとだんらくしたので、昨日はサイクル県山口へリフレッシュライド。

 

陽が昇り辺りが明るくなった頃到着したのは山口県の日本海側、金子みすゞの故郷、仙崎。

今回は、仙崎から青海島のかつて捕鯨が盛んだったという通近くまでの海上アルプスコース。

連続でロードバイクの話で、あまり興味のない方にはいささか気が引けますが、途中の景色がとても美しかったもので。

 

 

 

漕ぎ始めて1時間もすると、九州ではなかなか見ることができないまるで水墨画のような朝の景色にうっとり。

防波堤に腰掛けてコーヒータイム。

吹き渡る潮風にのって聞こえる鳥の声、ゆらめく海面の光。

足元の海を覗き込むとまるで異国のリゾート地のような透明度に感嘆し、思わず見知らぬ釣り人に声をかけた。

 

 

山口県はサイクル県と名乗っているだけにさまざまなコースがあり名所も数多い。昨年はお正月明けに秋吉台を走りその壮大さに改めて感激した。

2年前には、瀬戸内の周防大島を走り、3年前にはCMロケ地にもよく選ばれる角島を走った。

以前、角島を走った帰りにも見たのだが夕刻が近づく頃の響灘は、黄金色に輝き心底美しく、のちに陽が沈む頃になると果てしなく広がる水平線に溶けるようにして落ちる太陽は、あたりを黄金色からじわじわとオレンジ色へと変化させてその水面はただただ美しく無言になります。

 

 

 

 

 

ロードバイクを始めて思うのだが、これまで本当に常に自分のすぐ側にあったものをあまりよく見ていなかったとしみじみ感じるのです。

 

自分の住む街、となり街、郊外、おとなり県、そこにある歴史とゆかり、町のなりたち、地理、名所、祭り、名物…。

便利な街に住んでいると、生活に不自由を感じないので一歩も街を出ずに済む。

でも、知らない街に行きロードバイクで走るといろんな町の顔が見えてくる。走る前の下調べだけではなく、帰宅後に改めて町のホームページや地図を見ることが随分と増えた。

自転車を漕ぎながらの社会科勉強のよう。

 

人の営為、暮らす、生きるということは、場所が変わっても基本部分は同じである。

でも、その形や見えるものは明らかに同じではない。

それぞれである。

 

みんなちがって、みんないい。

 

金子みすゞの詩のフレーズが心にしみわたるのです。

学んだはずの金子みすゞの詩にも再び触れる機会を与えてもらえる。

大人になってからの学びは遊びから得られるのかも知れない。

そしてその扉はいつでも開けられる。

 

 

 

 

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