2021.06.14
鹿児島個展のご案内は、ひとつ戻ってね!!
チリリン。
意識をしていなかった瞬間に部屋中に響き渡る風鈴の音。
ここのところ真夏のような暑さが続くので、先週、いささか早い気もしたが風鈴を出してみた。
通常は軒下に下げるものだが、我が家のベランダには適切な高さに下げる場所がなく、リビングのカーテンランナーに吊るすことにした。
風流な音も、あまりに風が強い日など断続的に鳴り続けると気に障る音になってしまうもの。
これならばその日の天候次第で、カーテンを引くようにして好きな場所に移動させられる。
早朝から午後にかけて降り続いた雨もようやく夕方には上がり、青空と夕焼け、雨雲の残像が絶妙に混ざり合った、今日という日の日の入りにしばし見とれる。
近くの山々の稜線は鮮明に浮き上がり、山肌は雨に洗われてみずみずしく清潔な緑を放っていた。
夕方の家仕事に気を取られていたら、突然、澄んだ風鈴の音が響き、同時にベランダからふんわりと膨らむようにして夜風がリビングに入ってきた。
はっとして、風鈴を下げている方を見上げた。
あ。風。
いいなあ。
こういう間。
それまで無機質に動いていた自分が、一瞬にしてリセットされる。
深呼吸してください。もう辺りは暗くなってますよ。
その音は、そんな風に知らせてくれた気がした。
青空を背景に鳴る風鈴、おしなべて人の心に安らぎを与えし風流。
夜風を知らせる風鈴、日の緩ぶ思いもとくと広がりしいとをかし。
日本人の持ち合わせる間というもの。
日本文化の全ての道のはじまりにして核となるもの。
どんなに世の中が進化変化しようとも、忘れないように生き続けたいものです。