2017.12.17
冬の贈り物
昨日をもちまして、大阪個展が無事に終了致しました。
寒い中、お運び頂いた皆様に心より感謝申し上げます。
会場の様子は、写真の整理が未だ出来ておらず、ごめんなさい。
次回アップしたいと思います。
大阪より戻ったら、福岡も一気に冷え込み、連日、雪だるまマークの天気予報。
今年は、気温のアップダウンが激しく、ちゃんと冬になるのかな?
なんて思ったりしたが、今週末は冬らしいキンキンの冷え込み。
加えて、師走らしい慌ただしさに飲み込まれそうな列記とした12月の空気だ。
ここ数年、お歳暮なるものを自分自身に贈るようにしている。
まあ、俗に言う自分にご褒美というものだ。
ただそれは、身に付けるものではなく、生活で使うものと決めている。
贈り物とは、なかなか難しいものである。
自分で買うには贅沢品である。けれども、もしも手に入るなら幸せな気持ちになるだろうなあ、と思えるもの。
そんなものがよいのではないかと思う。
選ぶときにはそういうものをと心がけるが、受け取り主が本当に喜んでくださったかは、常に気になる部分でもある。
今年の私へのお歳暮は、カシミアのひざ掛けだった。
親しくさせて貰っているカシミアの織りの作家さんに、無理を承知で相談してみた。
カシミアのひざ掛け?
贅沢品だと分かってるんです。
でもですね、冬になるとYさんの織った手織りのカシミアのひざ掛けをかけて、本を読んだり、縫い物したり、書きものしたり、自分がおばあさんになってもずっと愛用できる思うと、実はそんなに贅沢なものではないのかなあと思うんです。
でも、やっぱり贅沢ですよね。
ううん、分かるわ。そういうのいいわよね。
そんなやりとりがあって、快く引き受けて下さった。
出来上がってきたひざ掛けは、なんともドンピシャな私好みな色のコンビネーションで、以前求めたストールとはまた違った織り方で工夫してくださって、これまたドンピシャなサイズで仕立てて下さってあった。
包みを開けると、すぐに椅子に腰掛けてひざにかけてみた。
もう、ふっかふかで気持ちよくて、あったかくてとろけそうな幸福感。
わあ、お願いしてよかったあ。
なんて肌触りがよくてあったかいんだろう。
冷え症の私は、これまで足元にヒーターを入れてなければ骨まで冷たくなっているような気がして、椅子に座ると同時にスイッチを入れていたのだが、今はヒーターの存在自体を忘れてしまっている。
誰が見るわけでもない私生活の中で素材のよい手作りのモノを、日常に使うということは、作り手と共に生活しているような気持ちになるものだ。
この感覚は、いちど生活に入り込むと、とても心地よいものである。
古い時代から使用されている普遍的と云われる素材たち。
その普遍的な素材には、やはり絶対的な魅力があるから普遍的と云われるほど長い間、素材として使われ続けているのだ。
その素材たちに敬意を払いつつ、その力を借りて形にする作り手がいて、出来上がったそれらを使うことで我々の生活は成り立っている。
私たちはその絶対的な魅力ある素材たちを選び、味わいながら日々の営為をこの世に命ある限り楽しむことができる。
これ以上の豊かさって果たしてあるのだろうか。
本気でそう思った。