2019.07.05
まとわりつくとうっとうしい気がするけれども、少し離れて眺めていると美しい。
蜘蛛の糸が織りなすマイホーム。
朝露が水晶のような玉になり、陽の光が射す。
家主は出かけているのか、マイホームだけが空中に見事に張られている。
蜘蛛の糸をイメージした模様のリング。
本来はこのモチーフをつなげた少しゴージャスなチョーカーネックレスだった。
のちにセットアップでリング、そして、ブレスレットを作った。
毎回お越しいただくお客様がひとつずつ揃えられて、前回は未だ作っていなかった、このモチーフのイヤリングのご注文を頂き、制作のチャンスを頂いた。
素敵なお買い物の仕方だなと感じ入った。
実際、とても素敵な方で着物もきちんと着れて、シーンによってはモダンに着くずすこともできる。
持ち物に対しても知識も伴った身につけ方をされていらっしゃる。
お洋服の時と着物の時は、まるっきりイメージが違い、別な女性に思える。
知的な女性とは、こんな方を言うのであろう。
セットアップを持っていると、少しフォーマルな場所でもホストに対しても失礼にあたらないのではないかと思う。
それは、必ずしも宝石である必要はないのではないか。
むしろその方のアイデンティティを、静かに語るようにも思える。
セットアップは、装身具に限らず服、食器、カトラリー、どんなものでもフォーマル感と相手を敬うもてなしの心が含まれる。
実家や祖母の家に一揃いあった茶托付きのお茶碗やお箸、座布団。
決して豪華なものではなかったが、自分達の日常使いのものと分けられて別な場所にあった。
今思えば、最も日本人らしい生活の在り方であったように思う。
核家族、狭小マンション生活になり、持ち物も厳選しなければスペース上困難になってきて、生活スタイルも時代とともに変化した。
自分にとってのフォーマル。
そのスタイルをしっかり持っていれば、たとえ型にはまっていなくても相手にきちんと伝わるのではないかと思っている。
でも、本当のフォーマルとは何かを知っておくのは必要であると思う。