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2025 May

2025.05.21

嬉しいお便りたち

 

 

 

3月の初めに記念出版した本「銀の身支度」。

告知して直ぐにご購入頂いた方々から、読後の感想をメールやお便りにて頂いております。

それらを頂いて読み始める時、毎回ドキドキしてしまいます。

素人の本をお求め頂くだけでもありがたいというのに、更に感想を送ってくださる皆様の厚いお気持ちに感謝ひとしおです。

 

 

先日、お世話になった出版社から、読者から私宛に届いたお手紙を転送致しますと郵便が届いた。

同封されていたお手紙の差出人の方は、存じ上げない東京在住の方だった。

実は3月の初めに告知してすぐにご注文頂いた知人から、読後直ぐにまたご連絡頂き、この本の感性を理解してくださりそうな友人、知人にプレゼントしたいと更に5冊をご注文された方がいらっしゃった。

この方からプレゼントされたという方からのお手紙だった。

 

とっても嬉しくて、本を送ってくださった方にお礼のメールを入れましたところ、なんとお手紙を下さった方は何冊も本を出版されていらっしゃる詩人の方というでありませんか。

消え入りそうなほど恐縮した次第でした。

ここのところ、本が人から人へと渡り未だ個展をしたことのない思いがけないところへ旅をしているという話を、既にお求め頂いた方々からちらほらお聞きします。

秋田県、北海道、海を超えてニューヨークまで行った本もあるとか。

 

デジタルで一気に拡散という手段ではなく、郵送でいろんなところへ届き読まれる方の時間を頂戴する。

そんなことを想像するだけでも、自分にとってはとても心地よいタイムラグです。

幸か不幸か自分の耳に届きにくい話ではありましょうが、読まれてがっかりされた方もその実、いらっしゃるかも知れません。

途中で読むのをやめてしまった方もいらっしゃるかも知れません。

 

それでも、読んで何かを感じた方々がメールというツールがあるにも関わらず、わざわざ直筆でのお便りとして送られてきてポストに届くということは、素直にこの上ない喜びです。

中には、胸が熱くなったものや思わず涙ぐんでしまったものもあります。

 

今まで読書をしてきた中でどんなに感動しても作家にお便りを書いたことなどなかったのだが、以前、読んだ本の中で、誰もが知っているある著名な作家は、読者から頂いたお便りをとてもありがたく感じていて、全員に返信、しかも手書きのお便りを出してると知り、著名作家の多忙さのどこにそんな時間があるのだろうかと、その事実に大変驚いたことがあったのを思い出しました。

ど素人の私にしてみれば、頂く感想のひとつひとつ全てが、その何万倍も沁みる喜びであり、宝である。

何しろ、自分の書いた言葉を読むために時間を割き、そして更に自分の為にお便りを出すべく時間を使い、言葉を書き記し郵便にて送るのです。

 

ああ、なんてアナログは浪漫があるのだろう。

と、すっかり酔いしれてしまいます。

 

本当に貴重で尊い体験をさせて貰っています。

心より感謝申し上げます。

 

さて、鹿児島はしっかり梅雨。

来月6日からの鹿児島個展の準備も大詰めです。

今回は本のタイトルにもなっている銀の身支度という30周年記念個展です。

会場も銀の身支度にまつわる空間を演出する予定ですので、詳細は、ひとつ戻ってご覧頂けますので、ぜひどうぞお運びくださいませ。

 

梅雨でもきっと晴れると思いますので、ふふふ。

 

 

 

2025.05.18

鹿児島個展のお知らせ!!

 

 

 

30周年記念企画鹿児島個展のお知らせです!

6/6(金)-6/9(月)

11:00-19:00

最終日は、17:00までとなります。

インハウス久永with living house 店内4階

 

 

 

 

インテリアショップのインハウス久永さんともとても長いお付き合いになりました。

いつも素敵な家具やインテリア雑貨に囲まれての空間づくりは、とても楽しく、ご来場頂いた皆様もゆったりと作品をご覧いただけます。

改めましていつもありがとうございます。

 

今回は、出来上がった本の販売と、本の中で使われております写真のパネル展示など、ニューラインの登場、新作もたくさん準備しております。

 

ぜひ、遊びにいらしてくださいませ。

過去、ご芳名頂きました皆様には週明け頃にご案内届くかと思います。

住所変わりました。という方もご遠慮なくお知らせくださいませ。

 

さあ、あとひと息制作頑張ります。

そして、梅雨入りした鹿児島、会期中必ず晴れるよう祈るわ。

 

2025.05.01

時間を遡る1日旅行

 

 

父の仕事の関係で中学から高校にかけて住んだ町、北薩地方の阿久根市。

その町で住んだ家は、父の職場で斡旋された平屋の一軒家だった。

そこが事実上、家族全員が一緒に暮らした最後の家だった。

私は後に短大の寮に入るため熊本県へ。そして就職でそのまま福岡へ。

結局、私は人生の大半を福岡で過ごし、昨年、鹿児島へ戻ってきた。

 

両親もそれなりの年齢になってきた。

いつかかつて住んだ町へ一緒に訪ねてみたかった。

友人たちの協力やコネクションを得て、車で2時間近く。

地元に住む友人に予約をお願いしておいた美味しいお魚を出してくれるお店で、まずは腹ごしらえ。

信じられないくらいの種類の鮮度抜群のお刺身の盛り合わせに、漁師というあだ名がつくほどの魚釣りが趣味の父も大興奮。

外を歩くと、海風が心地よい。

素晴らしいお天気に恵まれた。

 

 

美味しいお魚と美味しいお酒を楽しんだあと、長島町へとドライブ。

まるで異国のような海と最高のドライブコース。

長島は赤土でできる新じゃがや海産物が有名である。

道の駅でご当地物産を物色し、かつて住んでいた町へ向かった。

 

 

父の勤務先、母が買い物をしていたスーパー、徒歩で通った中学校への道、かかりつけだった病院、公民館、ラジオ体操に通った海水浴場へと続く細い路地、そして、かつて住んでいた平屋。

道から少しだけ見える赤い手すり。あの手すりの右奥が私の勉強机がある部屋だった。当時のままだ。

手前には大家さんが住んでいらっしゃって、その奥が我々がかつて住んでいた家だった。

 

母は、懐かしさのあまりさっさと車を降りて家の前まで行き、ぐるりとひと巡りし、今は誰も住んでいない様子が伺えると、当時より新しくなっていた大家さんだった家へ向かいインターホンを押していた。

 

玄関先に出てこられた方は、大家さんの息子さん夫婦だった。

息子さんは、私の記憶の中の大家さんにとてもよく似ていてタイムスリップした気持ちになった。

 

懐かしさあまりに突然インターホンを押した母は、ふと我に返って急に恐縮していたが、気持ちよく息子さん夫婦も対応して下さった。

息子さんは、今日、懐かしいお客様方がお見えになったと、両親に報告しておきます。

と、笑顔で語ってくれた。

当時の大家さんご夫婦は既に亡くなられていた。

もっと早くに両親を連れてくればよかったと悔やまれた。

 

引越しの多かった我が家は、本当にあちこちに住んだ。

中でもこの阿久根市は、鹿児島でも北部ということもあり、交通の便も悪いので、気持ちはあっても足を運ぶ気にならなかったのだろう。

とても喜んでいた様子だった。

 

人が生きた時間を遡る場所へ出向くことは、大切だと思う。

特別なことをしなくてもそこを歩くだけでも、それらの景色や匂いなどが、思い出の数々を満ち足りたものへと変えてくれるように思う。

 

たとえ町が変化していたとしても、どこかに当時と全く変わらない何気ないものを不思議と見つけられるものである。

そんなこの場所を以前から知っているという印のようなものを、確認できると心が安堵する。

 

おそらく両親それぞれに見つけた印があったのだろうと思う。

私もいつの日か、福岡のかつて住んだ町のマンションのあちこちを訪ねようと思う、加えて、今、お世話になっている個展先の土地も訪れようと思い、帰路についた。

 

 

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