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Ring

2017.01.23

 

 

 

 

 

初めて見るその山は、すべての憂いを静かに引き受けて取り込み、それらを裡なる原力で浄化する。

そうやって生まれた新たな清らかなる精気を、ひたすらに遠くまで降りまいているようだった。

たゆまぬリズムで、たえまなく。

 

 

 

 

どこか女性的な面持ちだが、根はどこまでも伸びやかに張った物静かな男性的な山。

その顔にはうっすらと白い雪化粧。

冬の薄青い空を背景に陽の光を浴びると、雪化粧は目を細めるほどのきらめく優しい銀色へと変化した。

女性が素直な嬉しさを無言で示す時の、頬を紅潮させるような変化にも似ていた。

 

 

 

 

白い雪が緩やかな山肌の凹凸と曲線輪郭を浮き彫りにして、銀色にきらめく。

太陽が送る惜しみない山への賛美は、光の中にオルゴールの音色をも含み奏でているようだった。

 

その日、その山は、ことのほか美人だった。

そのことを山は十分に分かっていた。

 

 

美しい顔立ちの山へ贈る。

 

マウントリング   ー 銀雪 ー

 

 

2016.11.14

 

 

ここのところ、殆ど家から出ずにエンジン巻いて巻いて猛制作中。

うちの中のお花の力がなくなって、しょんぼりと枯れ気味。

私にも日々せっせと力を分けてくれる生花が元気をなくしてくるのを見ると、焦ってしまう。

お馴染みの花屋さんへおしゃべりついでに気晴らしに訪れた。

モミの木が売っていた。

 

?。

!。もうじきクリスマスなのか。と、合点。

 

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街には素敵なネオンサインや大きなツリーの展示。

一気に今年のエンディングへと向かう。

 

 

今年も頑張った自分に労いの言葉を。

そして、何か記念のギフトを。

 

ギフトリング。

 

 

2016.10.26

 

 

分相応な生き方。

 

 

所有すべきモノや食事をする場所だけではなく、行い、使う言葉。

あらゆるシーンで自問せざるをえないことが年齢とともに増えてくる。

 

 

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過去、日本も経済が潤おうのと同時に貿易の制限も変化し、舶来のものが一気に流通し始めた頃があった。

舶来のものは全て佳きものとして市場に出回り、市民の夢や憧れをかきたてた。

実際に生産国である国を訪れると、かの車は、母国ではタクシー。おいしい本場のワインやスイーツ、食事もボリュームあるうえに格安。

しかし、かのブランドのバッグや服を着ている現地の方々を見かけることは殆どなかった。

 

長く欧州のとある国に住んでいる知人が話してくれた。

こちらには階級というものが今も根強く残っていて、自分がどのくらいの身分であるかを誰もがわきまえている。

どんな出生でどれくらいの稼ぎをしてどんな生活レベルで生きているのかをよく知っている。

食事をする場所、生活用品を買うスーパー、着る服や靴、化粧品を買う店、全て自分の身分に合った場所で用事を済ますのです。

彼らは、自分よりランクの上の人間たちに対して嫉妬もいだかなければ、自分を卑下することもない。

日本はそうではないわね。お金さえ出せばどんな人でもその場所に居ても誰も文句は言わない。

こちらではそんなことをしたら、恥をかくのは自分自身だとよく分かっている。本当の意味で自尊心を持って生きるとは、そういうことを示しているのではないかとこちらに住んでみてよくわかった。

 

この話を聞きながら、国民の中にある芯のようなものを感じた。

高級なものを所有することで、自尊心が上がるわけではない。

階級こそはないけれども生活レベルの違う人間が混じり合うことは、資本主義が生んだ自由。

お金を使うことで見えてくる世界もある。

 

何れにしても、今現在の日本の姿は、日本人という種族に最も適合した形であるように思うのであるが、芯を感じることができないのは、自由と甘さがないまぜになっているからだろうか。

 

 

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伯爵が着衣していただろう襟を立てた服。のイメージ。

 

伯爵リング。

 

階級は違いますが、ワタクシの好みのリングとなりましてよ。

 

 

 

 

 

2016.09.16

 

 

スクエアドームリング。

 

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来週からの愛知展出展予定のスクエアドームリング。

DMの宛名面でも使用されています。

一見なかなかの迫力ですが、形が与えるボリューム感とは裏腹に指にはめると手元だけが飛びすぎないように、ふわっと馴染むように磨きと真珠のセッティングでバランスをとりました。

 

見える角度によって、キリッと表情が猛々しくもあり、ふんわりと緩やかに盛り上がる優しさもある。

 

エッジの効いた大人の女性の表情をイメージしました。

 

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ちょっと個人的にも欲しいと思っているところ。

真珠がないスタイルでもよいかと思案中である。

 

白い真珠は、女性を清楚に気品ある美しさを引き出す んですよね。

やっぱり真珠付きがよいだろうか。

ふふ。

 

 

2016.07.13

 

 

 

2人の武士が友人となり、義兄弟の契りを結ぶ。

それすなわち命を預け合うという、侍にとっては至極大事な関係だ。

2人は遠く離れた場所に住み、別の主君に仕えている。

菊の花が咲く頃にあなたのところに何があってもうかがいます。

それでは用意をして待っていましょう。

 

 

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しかし、友は藩のトラブルに巻き込まれ監禁の身になり、外出はどころか手紙を送ることも出来ない。

 

夏が終わり、秋が深まり、菊の花が咲く季節がやってくる。

このままでは友と交わした約束を果たせない。

侍にとっては、信義よりも大事な約束。

 

侍は腹を切り、魂となって千里の道を走り、友の家を訪れる。

そして、菊の花の前で心ゆくまで語り合い、そのまま地表から消えてしまう。

 

 

上田秋成の「雨月物語」のとても美しい話だ。

 

異国の人が日本文化に憧れるのは、こんな侍魂の真髄部分を受け入れられた瞬間から始まるのだろう。

なにより、侍魂は持たずとも自分が日本人でよかったと思える話でもある。

 

リング「あげは」。

 

何が関係あるかって?

美しい蝶へといずれ変わる、変身!なのです。

 

 

 

 

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