2019.11.29
大阪個展のご案内、インフォメーションブログにて!!
ある年頃、スカートを避けてファッションをまとめていた頃があった。
スカートというものは、考え出したら非常に難しいファッションアイテムだと思う。まず、丈のバランス。それに加えてシルエット。デザイン。布地の質感。色。その上、トップスとの丈バランス。そして、足元をどうするか。
スカートをはくのであれば、そのようなトップスや羽織りものや靴を意識しながら買っていかなければならない。
そうなると、なかなかの服の量になってゆく。
若い頃は、まあまあ体の線も張りがあって緩みも崩れもないので、考えずとも違和感がないのだが、ある日から違和感を感じるようになった。
サラリーマンを辞めた頃からストッキングをやめてスカートも辞めてしまった。
5年前の5月に訪れた新緑の美しいベルリンの街。
年齢を重ねた女性たちのワンピースやスカートの装いが、日本よりあきらかに多いことに気づいた。
年齢とともに出る体の緩みは、万国共通。
しかし、隠す様子もなくゆったりと街を歩く女性たちをたくさん見た。
ご夫婦だろうか、女性は自分よりもはるかに年上。
割と短い丈のスカートだな。
膝小僧が見えるくらいの丈ではないかな。
次の瞬間、ポプラの木を揺らして吹く新緑の風が、私の前を歩く女性のスカートをふわっと膨らませた。
わ。素敵。
性別を越えて純粋にそう感じた。
その瞬間、はっと気づいた。
この女性は、今、心地よい新緑の風を体中で体感できたんだ。
パンツスタイルだった私は、顔に当たる風でしか体感できなかったベルリンの風。
ああ、スカートって女性に与えられた特権のような服だよな。
パンツ一辺倒なんて、ちょっともったいないかも。
そうやってお店を見渡すと、たしかにどこもワンピースやスカートのステキなものがたくさんあった。
なるほど。
クラシックコンサート会場でもほとんどの女性がスカートかワンピース。
自分の中にも少しずつ変化というものが生まれるものなのだ。
あの時の前を歩く女性のスカートが風に膨らんだ瞬間。
今でも鮮明に記憶に残っている。
白いドレスのペンダント。
風に膨らんだ白いドレスのイメージ。
ちょっとわかりますか?