2025.06.18
待つ時間によせて
私の作ったものたちは、営業時間や定休日が決まったいわゆる店舗販売とは違う場所での販売スタイルである。
どんな人間にも平等に与えられている1日24時間という積み重ねの中で、ワンオペレーション体制の手仕事である故、どうしても量産は不可能である。
たとえ寝食削ったとしても限界がある。
そのことを理解して下さる方々のおかげで生業として今に至っている。
形あるものに対して人のぬくもりのようなものを感じるのは、完璧な均一性とは別なところにあるのではないだろうか。
狂いのない直線や寸分違わぬ左右上下対称に囲まれて暮らすということは、私には少しイメージが難しいかも知れない。
少しばかりのゆがみであったり、どことなく曲があったり、使用感が醸し出す何かがあることがぬくもりに通じているように思える。
幼い頃、真新しい運動靴をおろすとき、とっても嬉しくて早く履きたい反面、学校に履いて行くには照れ臭く、休みの日に適度な使用感を出したくて庭を歩き回ったりしていた。
結局思いがけず派手に転んだりして、使用感どころではない汚れに一気に達してしまったり。
あれは、自分のフィールドにものが近づいて欲しいという心理が、幼いながらも行為としてのあらわれだったような気がする。
手作りのものを手に入れる為に、お待ち頂ける皆様に改めて感謝する次第である。
お手元に届けるまでの間、澱みない心で制作をしよう。
皆様が楽しみにお待ちいただいている時間によせて、たくさん感謝しつつ。
蒸し暑い日が続く。
紫陽花の花がガラスの中で爽やかなエールを送ってくれる。
本日も制作頑張りました。