2022.07.13
素晴らしき絵本「夜の木」
ずっと気になっていた絵本があった。
「夜の木」
絵本好きな方はおそらくご存知の方は多いと思います。
インドの絵本で、木にまつわる神話をまとめた本で、3人の画家によるもの。一枚一枚紙を漉くところから始まり、そのあとシルクスクリーンにて画家たちによる美しい絵がその紙に印刷、製本までもが手作り。全て自然素材にこだわり人の手でのみ作られた絵本という。
2008年のボローニャブックフェアで絶賛され、ラガッツア賞に輝いた本であるらしい。
毎回2000冊ほどの製版で、重版するたびにあっという間に売り切れてしまいなかなか手に入らずに定価の倍ほどの金額で出回っている。
今年の秋に第11刷の予定があるという。
さすがに倍の値段となると決心がつかずにいたのだが、先日、別な本をネットで探しておりましたら、定価に少しだけ割増の金額の中古を一点だけ見つけて即注文。
想像以上にとても美しい絵本で感激しました。
これは、絵本というよりはアートを購入した気持ちです。
むしろ、安すぎるのではないか…
手作りの証、裏表紙にはシリアルナンバーが手書きで記入されていた。
何度も何度も捲るたび、ほのかに香る紙の匂い。
漉いた紙のダマや、接着の時にできたヨレ、人の温もりを感じ幸せな気持ちになります。
この本はいつでもめくれる環境で、且つ表紙は眺めておきたい。
で、以前アクセサリーのディスプレイ用に購入していた額縁に細工をして、サイドから引き出していつでも絵本をめくれるような額を手作りしてみた。
リビングの壁面が呼吸するコーナーに変身しました。
絵本の上にある紅いアートピースは北九州在住の平山氏によるもので、こちらも手漉きの紙にブラジルの紅木の木屑を混ぜて創られたというアート。
このアートピースの下の余白に何かしっくりくるものをとずっと出会いを待っておりました。
まさか絵本になるとは想像もしなかった。
手漉きの紙と木、辿れば同じ素材の姿が変化したものたち。
表紙も壁紙から浮き立つことなく改めて中古とはいえ、この表紙のものが我が家に来てくれたご縁が嬉しくなった。
ちなみに重版の度に表紙の絵は変わるようです。
私の手に入れた本は、第9刷で表紙は「守ってくれる木」というお話の絵でした。
日々制作をする中で落ち込んだり、気分が沈んだりすることはよくあること。
そんな時は、手仕事の素晴らしさ伝えてくれたこの絵本をめくりながら、励まし、助けてもらいながら、自分をしっかり守りつつ原点に回帰して精進しようと思います。
良い出会いは、誰かに伝えたくなります。
機会がございましたら、ぜひ手に取ってご覧下さいませ。
伝わってきます。