2021.05.03
紫の気品
友人に誘われて北九州八幡の河内藤園を訪れた。
開墾が始まったのは、50年以上前。
1000坪の敷地にはそれはそれは見事な藤がまさに満開であった。
今年は桜もあっという間で、ゆっくり見るチャンスはなかった。
地元であるのにまだ一度も訪れたことがないという北九州の友人からの誘いで知った河内藤園は、かなり知名度がありいつもは海外からの観光客もかなり多いとか。
早朝の澄んだ空気に包まれた藤のトンネルと藤棚では、時折吹く冷たい風が天から伸び降りている藤の花を静かに揺らす。
気品ある藤の香りがあたりの空気に混じり合い揺らめく。
先端に進むほど小さな小さな蕾の赤ちゃんも蕾の先には紫が覗き、これから花を咲かせる準備をしてふっくらとしている。
風が吹くと先端は上の花の密集した部分より少し遅れて大きく揺れる。
その揺れは、甘やかな残り香を伴い、すれ違う女性のようでなんとも優美で艶っぽい。
藤は、木の幹がどっしりとしていて、まるで空を仰いで大きく手を広げているようだ。
どの木もかなりアーティスティックなフォルムだ。
やはり、自然美にはかなわない。
生命力に溢れたみなぎるエネルギーが、形を生み出している。
生きる力の道筋が美になる。
かなり見事な藤園だった。
春の桜は味わえなかったが、大好きな紫色の世界に身を置けた時間は、とても幸せで幻想的な時間だった。
やはり、私にとって紫はとても落ち着く最も好きな色だ。
誘ってくれた友人に感謝。