2019.08.27
扉の向こうに
扉の向こうに。
確かな希望と望む未来があるならば、誰しもノックし押し開くことを迷うことはしないだろう。
心を決めるだけだ。
しかし、扉はガラス張りではない。
重く時を重ねた古めかしさと朽ちた気配は、眺めるうちに2度と抜けることのない災いを含んだもののようにも見える。
勇気を試されているのか。
全てを引き受ける覚悟を計られているのか。
偽りのない欲望であるか最終質問を受けているのか。
全てが私の中の心にこだまする。
人は心の中にずっと思い描いている幾つかのことがあるのだろうと思う。
幼い頃から描いているものが変わらないという人は希少であろうが、
ある時からそれはほぼ変化しなくなる。
それはきっと自分が真に望むことであろう。
今一度自分の中に変わらぬ描写があるのであれば、
扉の前まで出向き
扉の前にしっかりと立ち
握り締めたこぶしでノックし
進み入る自分の存在を示す
扉を押し開きながら
そこまで出向いた自分の足を信じて
ただ踏み入る。
全ての不安を捨てて。
時は有限である。