息をひそめるような青空を背景に、赤く色づいたもみじがさえずるように揺れる。
葉の先端まできちきちに開き、透けるほどに光を浴び、さえずるさまは生の証し。
もうひとつ。
遠くさえずるような音が、足元から聞こえてきた。
音の先に見えるは、水分が抜けきってしまったシルエットの重なり。
木々が手放したもみじの葉っぱたちは、路上にて声は違えど再びさえずる。
頭上では、今まさに生を謳歌するさえずり、地上ではかつての記憶を辿るようなさえずり。
ふたつの音階の違う音は溶け合い、鎮魂歌さながら秋の午后を鳥のように舞う。