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2017.07.17 /

 

 

 

初めて訪れたその街の交差点。

シグナルが青になるまで立ち止まると、深呼吸をし、大げさなほど視線を上げてみた。

 

 

 

 

 

 

頭上には摩天楼に絡まる5月の真っ青な空。

現代アートの幾何学模様さながら。

 

この街に初めて立つ人は、きっと感じるだろう。

踏みしめる足の根元から湧き上がってくる何かが、背骨をすっと通り天へと抜ける。

 

今、マンハッタンに立っている。

ただそのことだけでも、自分の可能性に強く訴えてくるような街。

 

 

学生の頃、寮生活で親しくしていた友人の部屋に、いつ訪れても貼ってある決してはがされることのない大きなポスターがあった。

飾り気のない部屋にひときわ目立っていたそのポスターは、ブルックリンから撮影したマンハッタンの煌めく夜景だった。

 

深夜まで話し込んだある時、彼女がポスターを眺めながら私にポツリと言った。

 

私は、あの夜景のひとつになりたいんだ。

 

彼女の強く秘めた思いを聞いた私は、彼女の口からはおそらく2度聞くことがない言葉のような気がして、ポスターへ向けた視線を彼女に移し、ただうなずいただけだった。

 

初めて私がマンハッタンの交差点に立った時は、あのポスターを2人で眺めた時から15年が過ぎた時だった。

 

 

 

 

そして、今、更に15年が過ぎた。

 

今でもマンハッタンに立つと、足元から背骨を通り天へと通り抜ける何かを感じることが出来るのだろうか。

 

なんとなくそのことを知るのが怖い気がする。

人は、時間とともに見える景色が変化してゆく。

それに伴い、感じる心も変化してゆく。

 

若いうちに1度はニューヨークを訪れろと先輩が言ってくれた言葉。当時より深く理解できる。

 

 

15年目のリメイク。

マンハッタンリング。

 

 

 

 

 

 

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