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2019.09.12

秋山、山開き

 

 

 

先月後半はずっと雨に見舞われていたが、もう辛抱たまらん!

そんな気分になり、近郊でせめて終日曇りの日の山はないものかと検索しまくって、しばらくぶりのトレッキングに出かけた。

 

 

 

 

 

 

しばらくぶりのそして初めての山。

駐車場で登り慣れた様子が伺われる方となんとなく目が合い、声をかけてみたところ、この山を100回は登ったと話してくれた。

仕事が夜がメインらしく年間200回はあちこち登るという。

ここは福岡でも最も頂上からの眺めが素晴らしい山だと思う。

 

この言葉で一気にテンションがあがった。

 

しばらくぶりのトレッキングとあってか、はたまた空気中にたっぷりと含まれている湿度のせいか、呼吸が乱れやすく春よりきつく感じた。

 

私の体って、どうしようもなくほっておけばすぐに劣化するのか。

どうしようもないな。

 

そんなことを思いながら、頂上へ着くと一気に気分爽快。

 

下山コースを辿っていると、駐車場でお会いした方と再び遭遇。

 

今回の登山目的は、夏エビネという花を見つけることだと駐車場で聞かされていたが、満面の喜び顔で見つけたと写真を見せてくれた。

 

私の下山コースでもおそらく見ることはできるだろうとのことで、写真を頭に焼き付けて下山した。

 

なかなか見つけられなかった。

 

 

 

そして、なんとひと株だけ咲いていたのです!

 

しかも、大切に大切に囲われるようにして。

 

帰宅してから調べてみたところ、この花は蘭の仲間で、絶滅危惧種に類しているものでした。

 

冠を頭に乗せた貴婦人がドレスをまとっているような可憐な花でした。

 

インターネットのおかげでアウトドアも楽しくなったものです。

登山途中、何度もヤマップにお世話になりましたし。

山で知り合った方とも交流も持てる。

 

 

やはり、新しい世界はわくわくする。

おそらく、自分の知らないことに出会うからだろうと思うのであった。

 

秋山。

山開きの始まり、始まり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019.09.02

デジャビュなカフェ

 

 

 

初めての街。

少し雨が降りだし、身体がひんやりしてきた。

目的の場所には少しまだ時間もある。

カフェに入ることにした。

 

 

 

 

前方に趣のあるクラシカルなホテルが見える。

宿泊客がタクシーに乗り込む姿を見送ったばかりのドアマンに尋ねてみた。

 

ホテルのカフェは開いてますか。

申し訳ない、営業は11時からです。

道を挟んで向かい側あの建物はモーツァルトの生家で、中にあるカフェはザルツブルグでも人気のカフェです。

あちらだったら営業が10時からでもう開いていると思うよ。

 

親切な応対に礼を言って、雨足が少しずつ強くなったので小走りに建物に駆け込んだ。

しかし、その日は残念なことにカフェはお休みだった。

 

カフェから始まった美術、哲学、思想、オーストリアのみならず、ヨーロッパにはカフェという空間が起源という多くの叡智が生まれた。

カフェはいたるところにある。

 

すぐ先にもう一軒雰囲気の良さそうなカフェを見つけた。

きびきびと働く赤いベストをきちっと着た体格の良い男性スタッフに尋ねた。

 

開いてますか。

スタッフは、体格に反して優しそうな声ではにかみながら申し訳なさそうに

エルフ。

と一言。

こちらの英語の質問は通じていたようだが、ドイツ語の返事だった。

ここも11時から営業か。

 

完全に足先が冷えてきた。

夏の雨とはいえ、思いのほか冷える。

そのすぐ先に看板が魅力的なカフェが目に入った。

先客が入って行くのが見える。

 

あそこにしよう。

ダーウィンという名のカフェだった。

 

 

 

 

 

店内はコンテンポラリー色だけではない、博物館的な装飾品が置かれ、調度品はカウンター側以外のボックス席は少し重厚感のあるミックスインテリアで、異風だけれども洒脱な内装だった。

 

壁面には入り口から奥の方へと人間のルーツが線描画で描かれていた。

どこかエゴン・シーレのようなタッチ。

 

種の起源のダーウィン、ということか。

 

身体が思ったより冷えてしまったので、お酒の入ったコーヒーにするか迷ったが、ちょっと甘いものも欲しくなり、ホットチョコレートをオーダーした。

 

 

 

 

少し前に読んだ長編「葬送」平野啓一郎氏著 の中に画家ドラクロアのお気に入りの飲み物があり、交流のあったショパンにこの飲み物を教えるシーンがあった。

ドラクロアが寒いアトリエでこれを飲むシーンが出てくるたびに、いかにも魅力的な思いがしたものだ。

コーヒーとホットチョコレートを割った飲み物。

 

確かホットチョコレートが足りずにドラクロアはコーヒーを足したら美味しくてはまった。そんな発見の味だったような。

そんなことを思い出しながら店内を見回す。

夜はバーとなるようだ。

 

 

毛の短い脚の長い犬を連れた知的な雰囲気の男性客が入ってきて迷わず席を決め腰かけた。

犬も慣れた様子で飼い主の足元に座り、置物のようになった。

 

雨にびっしょり濡れた傘を手際よくたたんで入ってくるマダムと紳士がゆっくりと席に着く。

 

軽装で馴染みのある雰囲気の男性客がまっすぐにカウンターに向かい静かに座った。

 

隣席のカップルは地図を広げてイタリア語で楽しそうに話している。

カフェは、あっという間にお客さんでいっぱいになった。

 

なんだかこのカフェは独特の気持ちを感じる。

空間に馴染むというか。

空間と時間と自分が溶け込むように馴染むそんな感覚だ。

 

以前から知ってたお店のような気持ちにさせる。

 

どこかに似てる。

違う。

どこかで似たような気持ちになった。

そうだ!

 

プラハのカフェだった。

 

プラハのカフカというカフェ。

内装のイメージは違う。

共通しているのは、どちらも著名人の名前がついたカフェ。

 

いつか来たことがあるような、そんなカフェ。

デジャビュなカフェ、2店舗目だ。

 

密かにこれからの旅でカウントを愉しむのも面白いかも。

そして、それらをいつか再び訪れるだけの旅。

 

そんな旅も愉しいかもしれない。

 

少し冷めたホットチョコレートを飲み干し、備えてあった小さなクッキーを口に入れた。

 

どこのカフェでもついてくるこのクッキーは、少し苦くて口の中がさっぱりする。

 

 

住んでいる町でカフェに入ることは殆どなくなった。

でも、旅にカフェは必須だ。

 

いろんな経験や頭の中のものがふいにひきだしから飛び出てきて交錯する。

 

だから、カフェにあらゆる人が集まり文化を作ったのだろう。

 

 

 

 

 

 

2019.08.27

扉の向こうに

 

 

扉の向こうに。

 

 

 

 

 

確かな希望と望む未来があるならば、誰しもノックし押し開くことを迷うことはしないだろう。

 

心を決めるだけだ。

 

しかし、扉はガラス張りではない。

重く時を重ねた古めかしさと朽ちた気配は、眺めるうちに2度と抜けることのない災いを含んだもののようにも見える。

 

勇気を試されているのか。

全てを引き受ける覚悟を計られているのか。

偽りのない欲望であるか最終質問を受けているのか。

 

全てが私の中の心にこだまする。

 

人は心の中にずっと思い描いている幾つかのことがあるのだろうと思う。

 

幼い頃から描いているものが変わらないという人は希少であろうが、

ある時からそれはほぼ変化しなくなる。

それはきっと自分が真に望むことであろう。

 

今一度自分の中に変わらぬ描写があるのであれば、

扉の前まで出向き

扉の前にしっかりと立ち

握り締めたこぶしでノックし

進み入る自分の存在を示す

扉を押し開きながら

そこまで出向いた自分の足を信じて

ただ踏み入る。

 

全ての不安を捨てて。

 

時は有限である。

 

 

 

 

 

 

2019.08.19

名残を感じる頃

 

 

世間では夏休みも終わり、再始動の週明け。

一気に車の量も増えた。

 

 

 

 

街のお花屋さんに季節の動きを感じる花、吾亦紅が登場。

 

吾亦紅はどこか夏の名残を感じる。

お気に入りの山梨の作家さんの三角形をしたフラワーベースをチョイス。

吾亦紅とユーカリ、どちらも間を楽しむことができる植物なので、かなり背を高くカットして、ダイニングテーブルにどんと置きショップや飲食店のような雰囲気を楽しむのが好み。

 

 

 

 

 

もひとつ今のお気に入りは、鹿児島県の竹かご作家さんのもので、

円錐型の塩かごを利用。

 

可愛らしい大きさで、実用的に使われていた道具をモダンな感じで丈夫に作っている。

バスケットみたいな形がお気に入り。

 

素朴な植物をふんわりたっぷりと活けるか、一輪ちょこんと活けるのがなんとも味わいがあってよろし。

素材の力であるように思う。

 

来週は8月最終週。

少し頭の中もクールダウンしてくる頃、様々なパーツとしてキープしたものたちを少しずつ組み立て、整理し始めるのによい季節が始まる。

春よりも秋が始まる季節が個人的には、物事を運ぶ準備を整えやすい季節である。そんな気がしている。

 

 

 

 

 

 

2019.08.06

シャットダウンな1日

 

 

 

本日、九州は台風モード。

昨夜からベランダや玄関周りのものを片付けて備え、今日はシャットダウンな1日となりそうだ。

九州人は台風には、慣れたものだ。

 

 

 

 

本日届く予定だった荷物も、おそらく明日だろうと思っていたら早朝にインターフォンが鳴った。

いつもと変わらぬ対応で受け取りサインを求めてきた時に分かったのだが、宅配業者の方は文字通り水をかぶったような状態でびしょ濡れで頭からポタポタと雨水が落ち、制服もじっとりと濡れていたのでびっくりした。

 

しかし、受け取った荷物は一滴の雨にも濡れていなかった。

荷物に雨カバーをして持ってこられたのだ。

 

日本の企業の細やかな働きぶりには、時に頭がさがる。

仕事とはいえ、今日みたいな日にはなんだか申し訳ない気がした。

 

大半の仕事には流通が欠かせないものである。

流通の充実が販路を劇的に拡大したとも言えるだろう。

特に宅配業が発達したことで、働く人間だけでなく市民の生活もずいぶんと変化した。

 

私も仕事上かなりお世話になっていることもあり、いつも本当に有難いと思う。

何しろ私なんぞは、ドライバーライセンスすら持たず自分で運ぶという事が不可能なのでひとしおだ。

 

びしょ濡れじゃないですか。明日になるだろうと思ってましたよ。

ありがとうございます。

気をつけて、風邪引かないように。

 

言葉をかけてやることくらいしかできなかったが、

今月は休み無しですよ。と言いながらもちょっと顔がほころぶのが感じられた。

 

あっぱれ!!肉体労働!!

 

そんなことを思いながら、本日は写真をメインに飾っている壁の写真の差し替えとフレームの位置を調整した。

以前ブログでも話題にした墨象アート、みのはらみすずさんの作品「雫」を囲むようにして、先月満喫した旅の写真に差し替え。

写真と墨象アート、デッサン、案外混ぜて飾っても違和感がない。

 

写真はいつも旅先で自分で撮った写真を飾り、次の旅まで楽しむ。

腕がなかなか上がらないのだが、寝室でこっそり楽しむにはちょうどよい。

 

私が撮った旅の写真は、他人が見ると面白くないものばかり。

旅行の写真見せて、と言われると、私の写真あんまり面白くないよ。と、つい前置きしてしまう。

どこにも人物が映っていなくて、本当にそこにいたのかどうかも怪しい写真ばかり。

一人旅が多いとどこか素材集めという観点になってしまう。

でも今回は2人旅だったのになあ…

 

シャットダウンな1日、今夜はヨガも休講になるだろう。

何種類かスープストック作りでもしようかな。

 

こんな日も悪くないね。

 

 

 

 

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