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2017 May

2017.05.30

ツルの葉の進む道

 

 

空間に緩やかなリズムを与えるツルの葉。

 

 

 

 

 

 

お部屋の中でツルの葉先の向きを変えると、やんわりとした間仕切りにもなるし、日頃使っているグラスコップに挿すだけでサマになる。

このにょろにょろと伸びるツルの描く曲線は、自然美そのもの。

バランスを取りながら、しっかり伸びてゆく様を日々、観察するのが実に面白い。新芽の淡い色も磨かれた翡翠のように少し透き通って見える。

 

産まれたてとはどんなものでも、そうなのだろうか。

今月は、誕生月でもあった。

節目の年齢。

 

やっぱり、自分の生まれた月はなんとなくひいき目で一年で最も好きな月となってしまう。

 

明日でハッピーマンス、五月が終わる。

 

このツルの葉のように、振り返ればどんなににょろにょろしていようとも、愛着を持てるように、軽やかにバランスとりながら道を進もう。

と、思うのである。

 

 

 

 

2017.05.24

魅惑的な存在感

 

 

 

暮らしの中に香りを取り込むと、欠かせなくなってしまう。

正確には、なくなると恋しくなる。

 

仕事場には様々な専用液、バーナーのガスの匂いなど独特の匂いが残ってしまうので、仕事が終わるとしばらく換気をし、ディフューザーでアロマを焚くようにしている。

翌朝、仕事場に入室するとほのかな残り香がなかなかによいものです。

 

 

 

 

 

ぐったり疲れた日は、入浴後アロマキャンドルを灯して、音楽を聴きながらゴリゴリと自分の手足を好きな香りの精油をブレンドしたクリームでマッサージする。

この頃見つけたお気に入りの香りがヘッケルズのアロマキャンドル。

マッサージ用のクリームは、エレミとベルガモットを好みの割合でブレンドしたもの。

睡眠前のこのひとときが至極幸福で、最近では安眠効果があると分かりほぼ毎日やっている。

これって、誰かにやって貰えたらもっと最高でしょうねえ。

その日の気分で精油をブレンドしバスソルトに混ぜて入浴もよし。

お掃除の最後の拭きあげの時、柑橘系の香りをバケツの水に一滴垂らし絞った雑巾で拭くと、床から爽やかな香りが立ち上りとっても気持ち良い。

眠る前にベッドの足元に香水をワンプッシュしておくと、寝返りを打つたびにふんわり香る。

実はこれは、美輪明宏さんがエッセイの中で書いていたので、時々真似している。

さすがにマリリンモンローのような香水の使い方はしませんが、こちらはなかなかオススメ。

 

どれも皆さん既に取り入れている事だと思うが、生活の中になくなると恋しくなる香り。

 

 

そのせいか、贈り物も香りものをチョイスする事が多い。

香りは好みの個人差が分かれるところ、相手の負担にならないよう、苦手ならその香りが好きな人に迷わず譲ってと一言添えるようにしている。

私の香り好きを知られてしまっている友人から、関連グッズを頂くことも多い。

 

 

先日、とっても香りの良い化粧石鹸を頂いた。

水場であっさり使うのがどうにも勿体無くて、香りのサシェを作る事にした。

麻で縫った袋に石鹸を荒削りして詰め込んで、タンスの抽斗やタオルスットクの抽斗に。

 

抽斗を開けるたびにふわっと香り、とっても幸せな気持ちになる。

抽斗に手を伸ばすとき、ちょっとドキドキする。

 

香りは見えない。

色もない。

当然、形もない。

しかし、それら正体を示すものを超越した圧倒的な存在感がある。

 

そういう存在の仕方が、私にとってこのうえなく魅惑的である。

 

 

 

 

 

2017.05.19

初夏の香り

 

 

 

スペアミントが近くに大量に自生しているのを発見!

ミントはミントテロという言葉があるくらい、繁殖、侵食?の勢いが凄いのだとか。

なのでミントは庭に植えるものではないというガーデニストの認識もあるのだとか。

 

 

 

 

日当たりも良く、育つ環境が良かったのか、スーパーやデパ地下で売っているものより明らかに葉っぱが大きく、香りも強い。

あまりに雑草のごとく繁殖していて、色も濃く葉っぱが大きいので皆さん気づいてないよう。

自生している場所は、間違いなく私有地ではないので、泥棒ではありません。

たぶん。

へへ。

 

 

せっせと摘んで、せっせと洗い、せっせとざるに広げて乾燥ミントを作った。

5月はお天気に恵まれた日が続き、パリッと仕上がった。

 

乾燥ミントにしておくと爽やかな色は損なわれますが、何かと使い勝手がよい。

 

緑茶のポットに数枚ほど入れてお湯を注ぐと、ほのかにミントの香りがして、少し重たい食事のあとにいただくと爽やか。

コーヒーでおしゃべりがはずんだあと、もういっぱい何か。

そんな時にも、最適。

緑茶と思っていただいたお客様の顔が、ふわっとミントの香りに気がついた途端、笑顔になるのも嬉しい。

ミントティーが苦手な方も鼻先に届く、ミントのほんのり感がよいのか問題なく頂いて貰えます。

 

緑茶を紅茶の茶葉にして少し砂糖を入れて煮詰めると本場モロッカンミントティーも楽しめる。

 

ピクルスを作る時に少し揉みほぐして漬け込むのもよし。

 

東京の合羽橋でスクエア型のざるの大小を以前購入しておいたのだが、彼らがなかなかに便利である。

スクエアなので使わない時は隙間に立てて収納もできるし、マンションの狭いベランダでも使い勝手がよい。

 

初夏の香り。

いいですよね。

なんだか鼻歌歌いたくなるわあ。

 

散歩の途中にキョロキョロしてみて下さい。

自生しているハーブたちが案外いるかも!

 

 

 

 

 

2017.05.12

価格をつけられない情報

 

 

 

渦巻く情報。

真に望む情報とは、誰もが共有出来る無料のものの中には存在しない。

リビングに居ながらにして、指や目を動かすたやすい方法で得られる情報に、稀少な価値ある情報は皆無に等しい。

そう思っている。

これは、個人的な実体験にもとづく、あくまでも個人的な考えである。

 

 

 

 

この仕事を始めた頃とほぼ同時期にパソコンが一般家庭に普及し始め、検索エンジンがこんなに便利なのかと世の中が一気に近く感じたような気がした。

私は、その頃どうしても欲しい彫金資材が国内で手に入れられず、毎年少ない仕入れ資金を持って、勉強も兼ねて海外のあちこちを訪れ仕入れをしていた。

ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、パリ、ロンドン、ミラノ、バルセロナ、フィレンツェ、プラハ、ストックホルム、コペンハーゲン、アムステルダム、バンコク…あちこち行った。

 

現地に住んでいる方で現地のことはなんでもお聞きください。そんな方にも唐突にもメールしたり、あらゆる検索方法で資材屋を探しまくった。

しかし、そうやって揃えた情報の店に行っても望むものの仕入れはできなかった。

それでも、帰国時には必ず実りある仕入れが出来て満足して戻り、翌年は別な都市へと仕入れに出かけていく。

それを繰り返していた。

とりあえず用意していった情報が、自分にとって不向きであると分かると、その瞬間から地図を片手にとにかく街を歩き回るのだ。

 

滞在日数は限られているので、エリアごとに大きく分けて毎日歩き回る。

そうやって動き回ることで、すれ違う人たちのファッションや飲食店に入っている人たちの様子、雰囲気などでそこはどんな人たちが住みどんな店が集中しているのかが掴めてくる。

慣れてくると、初めて訪れる街でもそこが自分にとって時間をとって歩き回る必要があるかどうかが、カンが働くようになる。

現地の感度のいい人たちの話題のスポットも掴めてくる。

 

そうやってたどり着いたお店で買い物を済ませてから尋ねたり、場合によっては自分が身につけているアクセサリーに興味を持ってくださって会話がはずみ、教えて貰う情報でたどり着くこともあった。

 

ある時、はっきり気づいた。

 

自分が本当に欲しい情報は、自分の足で稼がなきゃいけないんだ!

情報はタダではないんだ!

実際にそこへ出向き、見て、誰かと会い、話し、そこに身を置くことで感じる。そのことは、情報のふるい分けの判断力を鍛えてくれる。

 

毎回、その思いは強くなり、今では自分の信念になっている。

と同時に、簡単に情報を得ようとしていた若い頃の自分を恥じた。

 

それだから、経験や実体験に基づいた貴重な情報を教えてくださった方には、きちんとお礼の言葉を伝えるようにしている。

 

検索して得られる情報は、ある種広告意図も含まれたもの。

なので無料だ。

しかし、専門の方が持つ情報は、無料ではない。

その方のお金と時間、肉体が使われ、実体験と知識、教養、全ての元に成り立って判断された貴重なものだ。

価格がつけられない重みがある。

 

 

どんなにスピーディーな時代へと進化しても、

たやすく得られる情報との適度な距離感を持ち、支配されることなく生きようと思う。

 

自分のアンテナが反応する。

とにかく実際にそこへ行ってみよう。

現物を見て、触ってみよう。

早速やってみよう。

それから、判断しよう。

 

それが、これまでの仕入れの旅を通して自分なりに得た、自分の生き方の軸になっている。

ちょっと大げさだけど。ね。

 

それでも私にとっては、自分なりにお金と時間をかけて得た確かな自分軸なのです。

 

 

 

 

2017.05.07

一期一会

 

 

一期一会。

それは、人と人だけではない。

 

 

 

大型連休。

カレンダーをおよそ無視した日々を過ごしていたが、1日だけ終日オフとしカメラハイクに出かけた。

場所は玄海町の棚田。

ここは、棚田百景に選べれているという。

九州在住なのに、知らなかった。

昼過ぎに到着すると、既に全国から集まった人々の立派な三脚がずらっと並んでいた。

花見の場所取りの如く、三脚だけがセットされカメラを持った人は案外少なく、スマホ客が目立っていた。

夕刻になると、車はざっと200台ほどに増えて立派な三脚に相当するカメラを抱えた人たちが、どこからともなく続々とやってきた。

全体正面からのアングルは諦めて、下見の段階で決めていた少し離れた奥地の場所へと移動した。

そこには、キャンピングカーで旅行中の奈良県在住のご夫婦が2人だけだった。

九州の撮影スポットをあちこち堪能しこの棚田が最後の締めくくりで明日帰るのだという。

ご夫婦の趣味、カメラ好きが高じてキャンピングカーを買ったのだとか。

県の優秀賞を何度か取られたという奥様は、カメラ2台を操っていた。

 

棚田は、田植えが終わった5月頭、しかも少し経ってからが土が落ち着き水が澄んでくる、その短い絶妙な期間が一番美しいらしい。

それが九州ではゴールデンウィークにかぶるという。なるほどどうりで全国からやってくるわけだ。

しかも、ここは棚田の奥が海でその水平線に太陽が沈む。こんな地形はなかなかない、おまけに今年は、天気に恵まれそうだから九州に行こうと決めたんです。

人懐っこい関西訛りの発音で、いろんな話を聞かせてくださった。

今日は、相当綺麗だと思うよ。

昨日も熊本で最高の写真が撮れたらしく興奮気味な様子だった。

 

私たちは、雲に隠れた太陽が顔を出し、水平線へと落ちるのをじっと待った。

 

 

 

どのくらい待っただろうか。

雲から覗いた太陽は、音もなく光の手を伸ばし海から棚田、私たちの身体までも黄金色に、そしてオレンジ色に染める。

その刻一刻と変わる棚田の水面の色と広がる海の色の美しさは、たちまち全員を無口にさせた。

 

シャッター音だけが鳴り響く。

 

オレンジ色の刻が、茜色へと極まった頃、思わずため息が出た。

 

世界が変わるでしょう。

 

奥様が、静かに私たちに話しかけた。

 

ほんとに。

美しいものを目前にすると、心は空になり感情さえもなくなる。

何かに包まれるような温かさだけが身体中に広がり、思わず泪が滲み出てくる。

 

この時間、名前も知らないご夫婦と、そして、2度と同じにして見ることができない景色。

 

私たちは、そんな場所の一部にいて生きている。

今日出会った人に、一期一会。

今日見た景色に、一期一会。

そして、今日という時間に、一期一会。

 

 

そんな、一期一会にたくさん出会うために、

もっと、カメラ学ばなきゃ。

 

 

 

 

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