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2022.07.18

スワンチェア

 

 

 

 

 

アポイント制の小さなショウルームスペースを始めて2年近く。

世の中の動きが止まったこともあり、ご案内を皆さんに送れたのはちょうど1年ほど前。

おかげさまで少しずつですが色んなお客様がやって来られるようになりました。

 

バッグを置いたり、商談の間にちょっと腰掛けたり、お連れ様の悩む姿を眺めたりするくつろげる椅子がやはりあった方がよいな。

 

頭の片隅にありながら既存の椅子でなんとか対応しておりました。

昨年、知人に案内して欲しいと言われご紹介しました行きつけのインテリアショップで、長年の担当者から偶然グッドニュースを耳にした。

 

アルネ・ヤコブセンのスワンチェアのキャンペーンが始まったばかりという。

それまでスワンチェアは自分には甘いデザインではないか、そんな思いもあり敬遠していたこともあり実は未だに一度も座ったことすらなかった。

良い機会だと実際に座ってみた。

途端に知人を案内した筈なのにすっかり自分自身が揺れていた。

まるで大きな白鳥に包まれるような心地になるホールド感と、デザインと思われがちな羽根部分の計算された肘置きの高さは完璧なまでの用と美。

椅子自体がゆっくりと回転するので、腰掛けた女性が両脚を揃えたまま椅子の向きを変えると、必然的に揃えた脚が斜めになる。

その様はなんとも優美で、エレガント。

誰も座っていない椅子としての佇まいも気品を感じますが、そこに座る人の所作やその人そのものの魅力で更に違った美しさが現れる。

そして、たとえば羽の部分に着ていたコートや手袋を掛けて椅子のそばを離れたとしても、そこに人がいたという残り香のような気配にもロマンが感じられる。

ああ。なるほど。

だから人気あるのか。

 

オーダーを決意したのが、キャンペーン締め切りのぎりぎり昨年末でした。

そして、途中、今年に入って新たな世界事情が加わりコンテナ積み込みが遅れに遅れ、予定より2ヶ月遅れで届きました。

 

 

この椅子が生まれたのは1958年。

建築家であるアルネ・ヤコブセンは、自身が設計したSASロイヤルホテルのためにスワンチェアだけでなく、エッグチェア、ポットチェア、ドロップチェア、ジラフチェアといった幾つもの美しい流線形の名椅子、そしてドアノブや照明器具、レストランで使用するカトラリーまでデザインをしました。

 

巨匠はやはり恐ろしいほどの創造の塊です。

 

発表当時はそれまでになかったこの椅子の大胆な流線形をどんな素材で表現したのか、このことが業界に大きな影響と革命が与えたようです。

 

 

 

デザインが生まれてきた背景や時代を知ると新しい目線が生まれます。

長年のお付き合いのインテリアショップの店長曰く、この流線形の椅子の張り地は、ミシンではなく全て手縫いで行われているという。

完成までに時間を要する筈ですね。

 

 

 

 

ショウルームスペースで、新たなシンボルチェアとなり皆さまをお待ちしております。

ぜひ、お越しになられましたらゆったりと回転する白鳥に抱きしめられつつおくつろぎくださいませ。

 

クリエイティブ魂。

微塵でもあやかりたい思いで、スワンチェアはフォンテスキーショウルームに座して、皆さまのお越しをお待ちしております。

 

 

 

 

 

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