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2022.02.06

なぜ登るのか

 

 

 

 

 

立春とはいえ、昨今の気象は暦上のイメージ通りには進まないというのがこの季節。

 

昨日、1ヶ月ぶりのトレッキングに出掛けた。

今回は遠征トレッキングは自粛し、コースが多く地元でも人気の九州100名山のひとつ宝満山に暫くぶりの登頂。

 

宝満山はトレッキングを始めようと思ったきっかけの山でもある。

正面登山道ルートのみの登頂経験しかなかったので、今回は1月、2月に見られるという難所ケ滝のおおつららを見て、仏頂山経由の宝満山登頂ルートで2座獲得のトレッキング。

 

 

 

平野部でも雪予報が出ていましたが、登り始めて1時間ほどするとボタン雪が舞い始めた。

連日の煽るような報道に、もたげる不安感情。

心拍が上がり始めると頭と身体が登るという行為に集中されて、日常のいっさいの感情が消えてゆく。

視線を上げると煙るようなぼたん雪の舞いの中に、色鮮やかなウエアに身を包んだトレッカー達の姿が、まるで冬景色に咲く花のようで心に平穏が訪れる。

 

高度もかなり上がり1時間登頂すると、左前方に現れた。

滝がそのまま凍りつららとなる名所、難所が滝の大つらら。

 

 

 

 

 

この時期にほぼ毎年見に登山されているという方の話によると、毎年大つららの形状が違い趣が違うのだという。

なるほど。雨の量や気温差、登頂した時の雪の量。

あらゆる条件が折り重なって生まれる冬の名景色。

 

次々と到着するトレッカー達が声を上げる。

見知らぬ同じ目的の人同士が写真を撮り合う。

 

 

 

この瞬間に負の感情を引きずっている人はいないだろう。

そう思えるような表情の顔が集まり始める。

 

この山で作品の撮影をしたことがきっかけでトレッキングに興味を持ち、経験者や出会う人、書物などを通して少しずついろんな山を登頂して4年目。

 

まだ70回にも満たないがやっと40座近くの山を登った。

トレッキングを始める以前、かなりのレベルの同級生登山者に今まで登った山で最も良かったと思う山はどこかと尋ねたことがあった。

 

彼は、少し考えて答えた。

 

どの山もいい!

どこもそれぞれにいい山だから、いい山はひとつじゃないんだよ。

 

その言葉は、私のレベルであっても今は実感として理解できるのである。

山がよいのではなく、山に登る人間の心に関わっているのではないかと思う。

そして、最近、まだトレッキングをしていないが興味があると言う方に、同じ質問をされるようになった。

気がつけば答えている。

 

どの山もいいよ!

幾つか登ったらきっと分かると思うよ。

 

そして、もうひとつ感じている事がある。

どの山もいい。それはどんな人間も必要である。

この世にある限り、どんな人も平等であるべきだ。

山が美しもあり、優しくもあり、残酷でもあるように、人も多面体である。

そのことを受け入れること。

まるでそう山に教えられている気がしてくるのである。

 

とはいえ、毎回登り始めの20分間はしんどい。

これは、どんなに経験が多くある方も同じらしい。

けれども、ひとたび山を知った人々が無性に登りたくなり、何度も何度も足を運ぶのは、おそらく山との特別な関係がそれぞれにあるからだろうと思える。

 

それは、なかなか言葉にできない感覚であり、登ることに興味を持っていない人を前にして言葉にしてしまうと必ずや安っぽくなる。

そのことをおそらく登る人は肌感覚で分かっているのではないかと思う。

 

登らなければ見えない景色がある。

 

 

こちらは大つららの手前地点の看板の写真です。

プロの方が撮影されたものであることを予めお断りの上、転載させて頂きます。

 

 

 

美しいですね。

 

 

暫くぶりのトレッキングを満喫し、頭も心もスッキリしたところで来月の個展への準備制作を再びコツコツ進めたいと思います。

 

 

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