2021.05.20
45.71キロのライド
我が街福岡には自転車人口がかなり多い。
料理を運んでいる自転車の普及率もどうやら他県に比較しても半端ない多さのようだ。
一昨年から自転車に乗り始めて知ったのだが、福岡にはサイクリストにとって魅力的なコースがかなり多くあるようだ。
少し山や海へ向かおうとすると、あちこちでほんもののサイクリストを必ずといってよいほど見かける。
かなりの走り込みを証明する肉体で、車でも息切れしそうな信じられないヒルクライムをリズム良く走る長距離ライダーたち。
いつもそんなサイクリストに颯爽と追い抜かれながら、私なりのサイクリングを楽しんでいる。
梅雨の晴れ間。
一昨年から気になっていた宗像〜直方サイクリングコースを走ってみた。
スタートは、むなかた道の駅。
古賀からやってきてちょうど休憩をしていたサイクリストに道を尋ねたところ、
「ご一緒しましょう。案内しますよ。」と快くリードをつとめてくれました。
山もそうなのだが、サイクリストたちも見知らぬ人間にとても親切で気持ちの良い方々が非常に多い。
反対車線を走っている同じサイクリストには、道路を挟み間を走り交う車を越えて視線を送り必ず会釈をしてくださる。
こちらがヒルクライムで必死で漕いでいる時には、その会釈が「頑張って!」というエールようで勇気づけられるものである。
通常街中で自転車に乗っている人々とはそんなやりとりはないが、サイクルジャージに身を包んだサイクリストたちが多いコースを走っていると、ほとんどの方が相手へのマナー、道路上でのマナーの元でサイクリングを楽しんでいるのだと感じ、見倣うことがたくさんあるのです。
どんなシーンでも、挨拶は重要だと思う。
どんなに優れた方でも挨拶がまともにできないことほど、相手に対してがっかりすることはない。
道の駅でお弁当を買ってザックに詰め込み走り出し、しばらくすると両脇が松林に囲まれた道に入った。
松林の間からまるで南国のような青い海がちらちらと見える。
大きく背の高い松林の傘の下を走っているような気分で、松林ロードはしばらく続く。
少し冷たい朝の風が最高に気持ち良い。
朝に見る玄界灘はこんなに海が綺麗なんだ。まるで沖縄だ。
何度もそう思った。
そして、いよいよ車やバイクでは乗り入れできない歩行者と自転車の専用道路、海沿い遠賀宗像サイクリングロードを走る。
視界を遮るものがない、本当の海沿い。
全く知らなかった!
こんなに整備されたサイクリングロードがあったなんて。
しかも、かなりの距離。
車を使う方は知り得ない景色が延々と続きます。
春には菜の花、初夏にはハマユウが咲き乱れ、秋にはコスモス街道になり、夕刻には茜色に染まる空と海を眺めながらまさに夕陽に向かって走る。
感激の連続で、ほとんど写真を撮るのも忘れてしまっていた。
リードしてくださったサイクリストの話によると、東京から福岡に出張で来られるサイクリストは、仕事を終えた後必ず1日休暇をくっつけてこのコースを走って帰るというケースが多いらしい。
納得。
むしろ走らなければ損である、としか言いようがない。
全く休憩なしで一気に芦屋海浜公園に着くと、ちょうどお昼。
リードをしてくださったサイクリストの方は、そこでばったり出会った知り合いサイクリストと今度は別なコースをライドすることになったようでそのままお別れすることになった。
「この辺のコースはよくウロウロしてるから、また声かけてくださいね。」
と、礼儀正しく笑顔で身軽に去っていった。
彼らのレベルは半端なくて、200キロくらいは平気で移動するらしい。
どこの世界も凄いレベルの方々がたっくさんいる。
ベンチに座り海を眺めながらお弁当を広げる。
お弁当の後は、素足で砂浜を歩いて海に足をつけてしばしクールダウン。
青い空の下の解放感。
思わず両手を広げて空を仰ぐ。
すっきりして靴も履きやすくなったのち、今度は遠賀川沿いを走る。
こちらも歩行者と自転車専用道路。
本来の目的地は直方駅まで往復80キロ程の予定だったが、車を駐車している場所の閉鎖時間の関係で遠賀川途中にて、コーヒータイムをとって折り返すことにした。
自転車は山とは違い、帰りが案外しんどい。
行きよりも時間がかかりがち。
体力配分がまだ掴めないからであろう。
しかし、あんなに素晴らしいコースがあったなんて驚きの連続だった。
とにかく走りやすい!
自分の足で探す景色は、発見した時の喜びを倍以上にしてくれるものです。
私たちの足は、それらを探すためにあるのだ。
そして、それらを味わうためにたまには立ち止まることも忘れてはいけない。
梅雨の晴れ間の45.71キロ記録更新ライドとなりました。