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2018.06.05

白い夜

 

 

 

この頃、心惹かれるもののひとつに白磁の白がある。

不思議なもので、気になり始めると途端に出会いが起こる。

 

 

 

 

 

満月の前で左右に静かにちぎれる雲。

盛られた料理を完食すると、ふわっと表れる線の絵。

まるで日本画、墨絵の世界のようだ。

 

 

無駄なものがなく、殺し合わず一切が調和しているこの青白磁の深皿。

大きさが6寸強ほど。

この程よい深さが料理はもちろんの事、和菓子や水菓子などを盛るとさぞモダンな感じを演出できるだろう。

朝食に欠かせない季節の果物も、朝霧に浮かぶようでなかなかよろし。

緑の葉を敷き、手毬寿司というのもこれまた見目麗しく、日本酒がすすみそうで喉が鳴る。

ひと目で気に入った。

 

ギャラリーのオーナーさん曰く、作家は関西に何十年も住んで活動しているピーター・ハーモンさんというアメリカ人の著名な陶芸家だと聞き驚いた。

個展では、必ず羽織袴を着て会場に立っているらしいが、これがまた全く違和感がないのだとか。

 

早速、作家さんのホームページを拝見してみた。

確かに、羽織袴が似合う。

茶道にも精通していて、陶芸を辞めることはあっても茶道を辞めることはないだろうと、ご自身のブログで語っていらっしゃるのを拝読。

 

なるほど、この無駄のない表現。

間の取り具合。

思わず背筋が伸びた。

 

現在は専ら茶道具を作っているとのこと。

そうなると、お皿を手に入れるのはなかなか難しくなってくるのでは?

これは、よいタイミングの出会いだと思った。

 

先日、このお皿のためのこけら落としメニューで食事を楽しんだ。

岩塩で軽く炒めたお肉を皿の底に敷き、小さめの新じゃがを丸ごとふかした後に、少し焼き目をつけたものをその上に乗せ、青ネギと白ネギ、生姜の細切りを添えて最後に和だしをかけ回してみた。

 

器の力は絶大だ。

 

白い夜。

この青白磁のお皿に名前をつけた。

 

この仕事をしていると、お世話になるギャラリーさんのお付き合いのある作家さんの作品たちにあちこちで出会うという誘惑が多いのだが、それ以上に作品たちを使わせて頂くことで、ものつくりとしての多くの学びを得るものなのです。

 

出会いに感謝。

 

 

 

 

 

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